2014年03月26日

『ヘリテージ マネージャーの役割とこれから』講演会のご報告

2014年3月22日 (公社)富山県建築士会歴史的建造物委員会(れきけん)は、
講師は沢田伸(さわだ・しん)氏/ ひょうごヘリテージ機構H2O代表世話人をお迎えし、
『ヘリテージ マネージャーの役割とこれから』講演会を開催しました。
これは2014年10月頃より、当建築士会が開始する、
ヘリテージ マネージャー(以下HMと略します)養成講座への周知と理解を目的としています。

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講演会は土蔵造りのまち資料館(旧室崎邸)で行いました。
高岡市が保存を進めている町並みの一つ、山町筋にある、高岡市指定文化財です。
室崎家は昭和20年まで綿布の卸売業を手広く営んでおられた、高岡でも屈指の商家です。
明治・大正の頃の高岡を感じさせる土蔵造りの建物の中で、
沢田氏のお話を聞いて頂きたいと思いました。
参加された皆様は、窮屈な思いをされたかもしれません、ご容赦ください。

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講演の大概要
ひょうごHM動きの流れ
沢田氏は兵庫県営繕課に勤務されていて、始めは県有施設の新築設計をされていたが、
異動で改修設計などの担当になり、建物を直して活用していくことの大切さを感じていた。
兵庫県で震災(1995年)などを契機に、行政と建築の専門家を中心に文化財(歴史的建造物)
を守ろうという動きがあった。
1999年に県教育委員会から兵庫県建築士会にHM制度創設の呼びかけがあった。
準備を重ね、2002年にHM養成講習会をスタートした。
始動期(〜2003年)は財源の確保など養成の仕組みづくり。
草創期@(〜2008年)は(兵庫県で)HM大会を開催し、
ひょうごヘリテージ機構H2Oを作り上げました。
草創期A(〜2012年)は地区ごとの活動コアが組織され、
全国ヘリテージネットワーク協議会を設立するなど、HMの全国展開も始まりました。
HM誕生の背景
震災で倒壊した歴史的建造物は、そのままで行動をおこさないと、
知らない行政は無償で撤去してしまいます。元には戻りません。
歴史的建造物の専門家だけではなく『もっと多くの専門家』が見ていけば、
更に多くの歴史的な建物が発掘され、登録文化財などにしていくことも可能です。
今後の日本は、人口構成・産業も熟成していき、建築は新築よりも、改修が増えてくると予想されます。

HMの動き
HMが自分たちの目で、地域を見つめ、地域の宝を見つけ、所有者の相談に乗るなど、
登録文化財の登録・改修(活用提案含む)などを行っていく。
古くなった建物を全て壊して立て直すこと(スクラップ&ビルト)もありうるが、日本の、
環境にやさしい伝統的な建築技術で改修修復しながら維持していくということも、大事だと思う。

歴史的建造物の価値基準
歴史的建造物は、国や大きな歴史の中で考えることも大切だが、地域の文化に着目して考えることは、
『まちづくり・地域の文化/風土を守り育てる』という意味で重要です。
登録文化財には含まれない、歴史的な建造物にも関心を持っていきたい。

これから
 HM活動の拡大・資質向上を図り、災害時の対応や既存法制度の研究・活用をしていけば、
歴史的建造物の活用を進め、誇りの持てる個性豊かな地域文化をつくっていくことに繋がります。
それは、今まで、画一的に開発されてきたような日本にとって、文化の新たな文化創造となります。

ひょうごのHM講習会の募集案内には
HMとは、地域に眠る歴史的文化遺産を、発見し、保存し、活用して、
まちづくりに活かす能力をもった人材、と書かれています。

皆様に感謝
当日までの参加申込み及び当日の参加希望の方で、40名になりました。
皆さん熱心に聞いて頂けたようです。建築の専門家ではない一般の方も参加されました。
HMの活動は地域の方々と専門家の連携が重要ですので、大変嬉しく、心強く思いました。
参加して頂いた皆様、そして遠いところ、神戸よりお出でいただいた講師の沢田様、
会場を貸していただいた高岡市土蔵づくりのまち資料館の皆様に深く・感謝いたします。
ありがとうございました。

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さて
2014年10月頃より、ヘリテージマネージャー養成講習を始めます。
歴史的な建物・まち並み・文化に興味のある専門家の皆様、一緒に講習会を企画したい、
などご希望の方は、ご連絡を差し上げますので、
右サイドバーのメールフォームを使いメッセージをお送りください。
(公社)富山県建築士会歴史的建造物委員会
     ・池田 ・丸谷

『期待して!』お待ちしています。





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2014年03月10日

愛知ヘリテージマネージャー養成講座(第三期)第7回(会場犬山市)に参加して

「犬山市の歴史を活かした町づくり」と題して。
愛知のリテージマネージャーの長谷川・奥村・松田の三氏の犬山の町屋のスライドによる
講義を受けた後、文化財建造物現地実習 (犬山市城下町現地見学)を行った。(H26年2月15日)

愛知県建築士会の山本事務局長初め、他5名のHMに案内をしていただく。
愛知県教育委員会文化財保護室の牧主任主査からも案内していただく。
次に載せる写真は講座の直前に犬山城を見学した時のものと、
現地実習の2時間足らずの町歩きで撮った写真の中からの掲載です。

犬山城天守 応急修理(工事中)
1-013 犬山城全景_R.JPG
「国宝犬山城」 漆喰・高欄等の修理工事
解体修理から約50年が経過し経年劣化が進行している。
その一方で、入城登閣者数の増加で休日は混雑している。
その安全を考慮して4階望閣の高欄、床及び漆喰の一部等を応急的、部分的に修理している

天守閣から城下町を見下ろす
2-087 天守閣から城下町越しに名古屋市方面を見る。右手は木曽川_R.JPG
手前に城下町。右が木曽川、左遠方に名古屋市内の高層ビルが幽かに見える。

犬山城と城下町の模型 [「城とまちミュージアム」に展示 ]
3-261 「城とまちミュージアム」の城下町の模型_R.JPG 
江戸時代(天保11年)犬山祭の当日を、山車の巡行やおおぜいの人出で再現。
現在でも江戸時代と変わらない町割りが残る。

犬山は今でも江戸期の町割りが残っている。
明治24年の濃尾大震災で町屋の姿は変わってしまったが、
その前は美濃市の町屋のように「うだつ」のある町並みであったらしい。
再建に当たったのは旧犬山藩のお抱え御大工(おんだいく)達で寺社・城郭建築の技術を
活かし頑丈な町屋を造り上げていった。
京風の格子戸の町並みが連なっていたと言われている。

文化財建造物現地実習 (犬山市城下町現地見学) 
本町・新町交差点 [ 角は「なつかし屋」 明治13年 ]
4-142 なつかし屋の角から 町並み_R.JPG
この二つの町並みの道路は拡幅工事が計画されていたが、中止して「伝統的建造物群
保存地区」を目指して整備されている

旧磯部家(登録文化財) 商家 慶応年間 
5-170 曲線「むくり」屋根の家_R.JPG
外観 優雅な曲線を画く「むくり」屋根

同 旧磯部家 – 2 土蔵 明治8年
6-192 磯部家の土蔵_R.JPG 
入口から座敷へと通り庭で繋がり庭へ出ると土蔵が並ぶ

真野家(登録文化財)  明治27年
7-208 真野家_R.JPG 
江戸時代から金融業を営み、旧丹葉銀行頭取の本宅

圓明寺 江戸初期
8-228 圓明寺 浄土真宗のお寺_R.JPG 
浄土真宗のお寺

梅田家(登録文化財) 商家 江戸末期
9-232 梅田家 黒板壁の商家_R.JPG 

忍冬酒主屋(登録文化財) 江戸後期 [ 小島醸造 ]
10-241 造り酒屋 忍冬酒_R.JPG 

◇ 助成金、補助金の取り組み
・「犬山市景観条例」を作成し、景観助成金として300万円を限度に、1/3〜2/3の
助成率で助成対象行為の区分に応じて各々の合計額を助成。
 ・「犬山市文化財保存事業費補助金交付要綱」により、国、県、市の文化財、登録有形
文化財建造物等に1/3〜2/3の額で500万円を限度に交付。

以上、愛知ヘリテージマネージャーのみなさんには、お忙しいところ当会3名の視察
を快く受け入れていただき、ありがとうございました。
今回掲載したものは、数は少ないが代表的な建築物です。
着々と多くの歴史的建築物、町並みの保存修復等の活動をされている現状を、
目前に見させていただき大変参考になりました。当県のHM講習への大きな弾みになります。

by 高原


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2014年03月06日

ヘリテージマネージャーについての講演会のお知らせ

講演会のお知らせをいたします。



2014.3.22講演会チラシ.pdf

建築士に限らず、古い建物に興味がある、一般の方・行政の方の参加もお待ちしております。




posted by 富山れきけん委員 at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 活動>一般参加型企画のご案内 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月09日

私のルーツ 滑川市加島町

私は生まれてから幼稚園に上がる前まで、滑川市加島町に住んでいました。
旧北陸道沿いに家が建っていて、家のすぐ後ろは海で 防波堤が並んでいました。
波の音が子守唄がわりだったんですよ^^

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↑私の家ではありません(笑) お向かいの斉藤家です。
米蔵をいくつも所有するこの辺りの大地主さんだったとか。

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↑その米蔵
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これもかな?
歴史的建造物の保存、修復にかかわる講義に参加していますが
なんとなく、そのままの姿で静かにたたずんでいる建物を見るのも好きだったりします。
小さい頃、蔵の前の空き地でラジオ体操をしていましたが、その当時のままの姿です。

旧街道沿いではありませんが、この辺りは趣のある建物がいくつか点在しています。
P1030746.JPG

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旧北陸道に戻って 加島町のお隣、領家町です。
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出桁造りと出格子が美しい

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こちらのお宅は、漆喰の補修もされており、まだ綺麗なのですが、
残念ながら空き家になっています。
御病気で亡くなられたご主人は、私の父の同級生だったとか・・・
今は住む人もなく、大きな庭を持つこの素敵な建物の行く末が心配です。

私が住んでいた家は、私達が引っ越した後何年か伯父家族が暮らしていましたが
今はもう存在しません。
埃をかぶったアルバムを引っ張り出し、家の姿を残した写真が無いか探しましたが
残念ながらありませんでした。
ほんの数年間の記憶ですが、やはり寂しいものですね。

↓オマケ(笑) うん十うん年前のわたくし。。。
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by tajima

posted by 富山れきけん委員 at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム>町並れきけん散歩(県内) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月15日

講演会『古民家に学ぶ家つくり』のご報告

講演会『古民家に学ぶ家つくり』2014年1月11日、射水市八幡町にて開催しました。
松井郁夫氏『松井郁夫建築設計事務所代表・ワークショップ「き」組 発起人』
講演をお願いしました。参加者20名。

講演会の前に、近隣の『宮林家』を見せていただきました。
個人宅なので、いつもは、見学出来ませんが、今回特別に見せていただきました。
『宮林家』は、幕末から明治にかけて、大きな土地を所有し、
19世紀前半より海運業を営んでいたとのことです。
幕末の旧前田家14代藩主慶寧(よしやす)の4女慰子姫(やすこ・有栖川宮威仁親王に嫁ぐ)が
少女時代に過ごした家です。


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緩やかな屋根の屋敷
玄関横の格子のある部分は、式台です。式台の幅に驚き。
この式台から江戸時代、前田の殿様など位の高い人が籠に乗ったまま、この屋敷に入りました。
宮林家にも、籠が保存されているそうです。

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広間 吹き抜けにガラスのトップライトがあります。室が広いための採光と思います。

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縁側 大きな踏石(ふみいし) 材料選び・運搬・据付け大変だったと思います。
それだけ、財力があったということです。

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髪結い床です。母屋から渡り廊下を通って入ります。
色ガラスは当時のものだということです。配色がとてもダイナミックです。
金沢市の兼六園の成巽閣(せいそんかく・前田家の奥方の屋敷)、
尾山神社の色ガラスを思い出しました。
金沢から離れて新湊で過ごす娘に故郷を思い出させ、寂しい思いをさせないための、
殿様もしくは宮林当主の心配りではないかと察しました。

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講演会です。以下は大概要
日本は明治時代にヨーロッパから多くを学びました。
建築に於いては、日本の伝統建築の工法や伝統産業に配慮できずに、
レンガを張った洋館づくりなどをしてきました。
日本で『近代』建築を伝道した、海外の建築家がその率先です。
そして、木造よりも鉄筋コンクリート。その流れは、建築教育にも影響し、
大学では、木造建築を教えるところが少ない。
更に、第二次世界大戦後、焦土と化した日本の都市部に、労働力として多くの人々を迎えるため、
国が資金を貸して(旧住宅金融公庫)、人々に家を自力で造らせてきました。
比較的安価な家つくりの為もあり、筋かいや金物を使った現在の『在来工法』
という家つくりを確立してきました。
この家は、地震に際して硬い家つくりであって、伝統建築の場合の粘り、柔らかく動く家とは違います。
伝統建築の柔らかい家は、最大傾いても、全壊することは少ない。
そのためには、金物は極力使用せず、足固め、貫を使って、『木』組をします。
仕上げも、ビニールクロスや石膏ボードをなるべく使わないことを考えてほしい。
ウッドファイバー(木の繊維を固めた断熱材パネル)やゾノトライト系ケイ酸カルシウム板など、
いい材料もあります。

また、伝統的な建物の改修の断熱改修は、断熱材を施工し窓をペアガラスの建具を使うことで、
次世代省エネルギー基準の2.7以下にすることも可能です。
これ以上に多くのお話がありました。とてもエネルギッシュでした。
詳しくは、松井郁夫著 いまこそ「木組の家」に住みたい 彰国社 をご参照ください。

講演会の会場を提供して頂いたNPO法人水辺のまち新湊
見学させていただいた宮林家の皆様。
お忙しいところ、東京より来富し講演して頂いた、松井郁夫氏に心から感謝をいたします。

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posted by 富山れきけん委員 at 13:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 活動>活動報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする