2013年10月30日

日本の住まいと職人技術


本と講演会のご案内です

「日本の家」 空間・記憶・言葉  中川武 著

日本の家―空間・記憶・言葉日本の家―空間・記憶・言葉
中川 武

TOTO出版 2002-06
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日本の伝統住宅を構成する様々な要素には、それらにまつわる多様な言葉があります。
本書ではそれに含まれる歴史の流れや意味について25の具体的なものの名前を通して語られています。
本を通して伝統的な日本の家屋に対して氏の慈しむ思いが伝わってきます。
読んでいて教えられること、気付かされることの多い本で私の愛読書となっています。

「囲炉裏」について書かれた中に氏が生まれ育った
富山県富山市の家に囲炉裏が切ってあったことがかかれています。
富山県出身ということでなお親近感をもち、いつか機会があればぜひ直接お話しをうかがいたいと
長いこと望んでおりました。それが実現するのが次にご紹介する「平成25年度建築文化講演会」です。

11月4日(月祝日) 14:00から16:00  無料
サンシップとやま 1階福祉ホール にて開催されます。

内容は「日本の住まいと職人技術」ですが
これも長いこと取り組んでおられるアンコールワットのお話もお聞きできそうです。
事前に申し込むことになっておりますが、当日会場へ行っても大丈夫とのことです。
ぜひご参加ください。
by丸谷


平成25年度建築文化講演会.pdf


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2013年10月24日

ヘリテージマネージャー大会のご報告

第2回ヘリテージマネージャー 協議会総会 と
第1回ヘリテージマネージャー大会へ参加してきました。
第56回建築士会全国大会『しまね大会』と一緒に開催されました。池田が参加しました。

第2回ヘリテージマネージャー(以下HMと略します) 協議会総会
2013年10月18日(金) 午後5時から 松江市 ホテル白鳥にて開催されました。
・全国の協議会で情報交換をしながら、大きく取り組もう、ということ。
・全国をブロックに分けて、交流しながら取り組む。
  →富山県は北陸、愛知等と一緒(詳細は、事務局に再確認します)
・取組についての質疑応答 →予算は参加費のみで出来る場合もある、
                   行政などの補助金獲得等工夫しよう。
・公共団体などとの連携が重要
・昨年よりも今年はHMの取り組む地域が10か所増えている。
などが大きな点です。

また、総会のあとの情報交換会では、
・HMは設計や施工だけでなく、多くの専門家や市民と一緒に、事業化などを共に考えていこう。
・HMをやっている方々は楽しそう。それは、多くの方々と取り組めること、実施出来た時の
充実感と、少ないけれど報酬があることが必要。
などをお話したり、伺ったりしました。皆さん元気で楽しそうでした。
会場には、既に活躍されている方も、これから取り組もうとされている方もおられました。

同時に全国のヘリテージマネージャー関係者と顔を合わせてお話をしたことはとても大きな成果でした。
翌日の大会では、建築士会連合会の三井所会長に再会でき、お話を伺うことができました。
 HMは、大きなムーブメントになりますよ!!

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↑協議会総会の様子

第1回ヘリテージマネージャー大会
翌日19日(土) 午前10時から 松江市 くにびきメッセ 会議室にて開催されました。

※くにびき、とは 出雲地方で国土創造の神と言われる、八束水臣津野命 『やつかみずおみつののみこと』が朝鮮半島と壱岐と能登半島から土地を引き、島根半島を造った、という神話から来ています。
太古の昔、朝鮮半島と日本列島が繋がっていた、という人間の記憶・伝承ではないかと池田は思います。
設計は高松伸氏(島根県出身)。

議題・発表として

・協議会で情報交換をしながら、大きく取り組もう、ということ。
 ・伝統的建造物の建築法規等の緩和措置が進むであろうということ。
 ・事例発表として
@ やまにてく 主宰 渡部 孝幸氏
石見(いわみ)銀山の渡辺家住宅の改修及びレストランへの改造
   銀の里渡辺家・咄々庵(とつとつあん)

A 熊本HM会議 代表 山川 清満氏
  歴史的建造物の被災調査・復旧支援のしくみづくり
  〜保存活動をしても、地震などで被災した場合、情報がないと、解体されてしまう。
  日常的に、歴史的建造物の位置などの情報保存・関係者との情報交流をはかっておくことで
  被災した時に備える。

B 静岡県HMセンターSHEC(シーク) センター長 塩見 寛氏
歴史まちづくりネットワークの実践
  〜応急危険度判定との連携など、関係団体とのスムーズな連携が必要

C ひょうごヘリテージ機構H 2O 淡路地区 角田 学氏
淡路地震被災状況緊急調査報告
〜2013年4月の地震時、HM・行政関係者により、調査計画書と調査票をつくり、状況調査をした。


大会声明として、7年後の(2020年)東京オリンピックに向けて以下のことを提唱しました。
・全国の重要伝統的建造物保存地区の数を2倍にし、その国家予算を10倍にしましょう。
・歴史まちづくり法の要件を緩和して、同法の重点地域を全国に広げ、200地区としましょう。
・これらの運用の主体的な役割をヘリテージマネージャーが果たしてまいりましょう。


これから、ヘリテージマネージャーの役割は大きく、重大になり、可能性は拡がるように思います。
富山県内の関係者の皆様と気持ちを合わせ、大きな動きにしていきたいと思います。



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大会の様子
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銀の里渡辺家・咄々庵


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くにびきメッセ室内


by池田
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2013年10月17日

土蔵復元現場勉強会のご報告

土蔵の勉強会
2013年10月14日(月・休)午前、富山県民会館分館・内山邸にて勉強会がありました。
内山邸は、柳原文庫という土蔵を、上野教授の指導で職藝学院が復原工事をされています。
その土蔵を見学しました。最近は、土蔵の工事は少なく、骨組を見ることが出来るのは貴重です。
講師は、富山県左官事業協同組合理事長・夏見氏、小橋(こばし)左官親方・小橋氏にお願いしました。
参加は27名でした。

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●その土地の材料で作る。
昔は、高価な材料は使えなかったので(今もそうですが)、地元の材料を使ったそうです
土、竹、木、縄など。昔は他地方の物は、運び賃が高いです。宅配便は当然ありません。
この文庫は、壁は土です。下地は竹木舞。
竹がない地方は、スギ木舞というところもありました。
一般住宅は、壁下地には竹とススキを使いました。

昔の集落は、家は同じような材料を使うので、同じような色の家が並びます。
現在は、大量に作って、発達した配送システムで送るので、
地元の材料にこだわることは出来なくなりました。その判断は皆様に。


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●丁寧に。
偶然に、竹木舞の工事をされていたのは、
前回、土蔵の見学会の講師をしてくださった左官の石ア氏でした。
縄の結び方を教えてくださいました。要は緩まないことです。
一つ一つ結ぶのだから、大変ですね。こうやってしっかり作られたものは丈夫です。
2つ前の写真の角に写っているのは、講師の夏見氏。

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●既存の3連の土蔵
3種の違った用途の土蔵です。奥に茶室があります。
この土間は、セメントと土を混ぜたもの。『三和土風』仕上げ

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●左官は昔、官位(役人)だった。
現場見学の後、夏目氏、小橋氏より、左官の歴史、材料について説明がありました。
昔は宮殿やお城に出入りするために、左官や大工は官位だったそうです。

●漆喰は外部用
漆喰は土壁に比べて防水性があるので、外壁の最終仕上げに漆喰を塗ります。
それほど予算を掛けられない多くの家では、室内に漆喰を塗らなかったそうです。

●黒漆喰は高価だけど・・
江戸幕府は、武家屋敷に白漆喰を使うので、町民には白漆喰を禁止しました。
そこで、お金のある商人は、家に黒漆喰を塗ったそうです。
墨を混ぜたり、漆喰の水分を取ったり手間取るので、実際はお金がかかったそうです。
それでも左官職人に依頼したのは、商人の『粋(いき)』なのでしょうね

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●フレスコ画
記憶に残ったのは、ミケランジェロ作・バチカン宮殿システィーナ礼拝堂の天井はフレスコ画。
フレスコ画の技法は漆喰が渇く前に絵を描くことだそうです。
そうすると顔料が漆喰に染み込み、耐久性のある絵になるそうです。
分割するにしても、凄いスピードで絵を描いたのでしょう。

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敷地内に彩りを加えるホウキギ、美しいですね。

●ありがとうございました。
参加された皆様、講師を引受けてくださった夏見様・小橋様、工事を見せてくださった石ア様、
公開してくださった職藝学院様、内山邸の皆様、ありがとうございました。大変勉強になりました。

by 池田


posted by 富山れきけん委員 at 21:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 活動>活動報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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